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お仕事と今

文系の博士課程「進むと破滅」 ある女性研究者の自死

https://www.asahi.com/articles/ASM461CLKM45ULBJ01M.html

 

 僕は一応(一応って言うのも変か)、文系の修士卒なので、たぶん大学院に行っていない人よりはアカデミックの環境を知ってますよー程度。まあ友人や先輩がアカデミックポスト獲得のために悪戦苦闘しているのを間近で見て来たし、大学院に入る前は、僕もアカデミックポストに就くのだ!と夢を抱いて、入学した経緯もある(色々あって、というか能力の問題だけど、今は普通に企業で働いています)。とても優秀な研究者だけど、ポストに就けず不安定な生活をしているのを見ると、実際思い描いていたアカデミックの世界とリアルの乖離に絶望したことも事実だ。実際、自ら命を絶つという話も少なからず聞くし、とても厳しい世界(文言ではたぶん形容しきれないであろう)だ。アメリカでは文系博士卒でも民間企業の就職がある、日本ではないというような話もあって、そんな世界なら少しでも良くなるのかななんて思いながら、ネットを見ていた。現在、僕は普通の民間企業で働いている。まあ業界が業界なので、超絶ホワイト!というわけではないが、仕事が嫌でもないし、普通に家族を養えるだけのお給料をもらいながら、大学院で学んだことを生かせる仕事をしている。普通に大学院を卒業し、それなりの企業に就職し(静岡勤務になるのは想定外だったけど)、普通に結婚し、バンドや音楽やりながら気楽に生きている。まあ、個人的にはこれでよいかなと思える生活を現在手にしたつもりだ。そんなこんなで生活をしているのだが、院生に対する世間の評価はお世辞なのかもしれないけど、優秀であるということが多いと思う。お客さんと会話していて、何かのきっかけで、「一応僕院卒なんですよねー」みたいなことを言うと、結構マジな顔ですごいねって言われる(別にこれがうれしいわけでもないし、僕スゲーアピールしたいわけでもないよマジで)。だからと言って院卒だから仕事がしやすいかといえばそうでもない。当の本人からすれば、就職せずに勉強したいという自分のエゴで、年老いた両親に2年プラスで負担をかけるという親不孝者であるし、実際に大卒で就活していた方がより良い給与を得ていたかもしれないとは思う。個人的には文系の大学院進学はよっぽどの覚悟がないならいかない方が良いと思う。なぜなら、博士課程ほどではないが、修士課程でも文系だと就活はなかなか厳しいものがあるからだ。前置きは長くなったが、ちょっと修士課程の就活について少し書こうと思う。

 

僕は今の会社に入って今年で7年目である。大学時代の研究で用いていた統計学を活用できるという点、先輩やお世話になった研究者のお手伝いができるという点の二つが大きく、今の会社に就職した。まあ、その思いは果たされて、両方うまい具合でできているのだが、就活で面接がサクサク進んだのは少なかった。

 

僕の場合は、ほぼメーカーは書類選考でお祈り、金融とかもグループ面接でほとんど相手にされないみたいな感じだった。僕の研究室でちゃんとメーカーや金融等、僕が就活していた所で内定得ている人もいるので、僕の力不足なんだろうけれど、周りもメーカーとかは速攻お祈りされるみたいなことを言っていたので、間違いではないのだろう。院卒は給与も学部卒より高いし、扱うのが面倒みたいなのもあるんじゃないかと思う。実際に、僕の就職した会社でも、論文引っ張ってきて、この論文にこう書いてあるので、こっちが正しいです!なんて院卒丸出しの提案をしたときは、「学問とビジネスは違う」なんてこと言われ、辞めてやろうかなんて思ったこともある。当時の自分としては、エビデンスに基づかない、感覚で対応していることに対して、なんでだ!なんてとがっていたし、上司からすれば、わかっちゃいるけど、時間とコスト考えたらこれくらいしかできねーんだよ生意気がと思っていただろう。ちゃんとお互い話し合えばわかる事だけど、たぶんこう真っ向から対立すると、勉強していない上司はあほだ!なんて思ってしまうし、上司からすれば理論とか言ってめんどくせーってなることもあるだろう。僕はたまたま周囲や上司に恵まれ、話を聞いてくれる人が多かったので、誤解が解消され、楽しく仕事ができている。でも、そういう環境じゃなかったら、院生はめんどくせぇって会社が思うのも、まあ仕方ないかなとは思う。たぶんこれだけじゃないけど、こういうのも一因となって、院卒の就活は難しいのではないかなーと思う。これは、文系の話であって、明確な技術があって採用される理系では適合しない話だし、所謂大卒と同じ就活戦線で戦う文系院卒に限った話ではあるけど。

 

 数年働いていたらなんであの時あんなとがってたんだろう馬鹿じゃねーのって思うことばかりで、そんな感じにみんななっていくんだろうけど、学術的なソース出しながら議論してしまうのが普通になってる院生ってやっぱり企業は扱いにくいのかなって思う。実際僕も後輩や部下がそうだったらちょっと扱いづらい(ちゃんと向かい合ってくれた上司ありがとう)。まあ、でも地獄の就活や修論デスマーチを耐え抜いた院生のメンタルはたぶん強い。それと技術が結びつけば本当に強いと思うけど、なかなか理解されるの難しいんだろうなーとも思う。僕もそういう理解を会社で得てもらえるようになるまで時間かかったし、そういう風に、少しずつ溝を埋めていく作業をしっかりしていくのが重要なのかな。

 

 長くなったけど、博士ほどじゃないけど、文系の修士も就活大変なんですよということが結論ですね。残念ながらたぶん、僕は自分の子どもが文系で院進学したいって言ったら、反対するかといえば反対はしないと思う。だって、院に行ってた2年間、お金なくて本当に苦しい生活してたけど、研究室のみんんなや先輩と学術的な議論を毎日やったり、自分が知りたいことに一日中向き合ったり、本当に楽しかったからだ。まあ、僕が自分がやりたい研究を大学院でできたということが大きいのかもしれんけど、そう考えると、高校生の段階で自分のやりたい学問の方向を大枠ではあるけど決めさせる今の日本の受験制度ってどうなの?と思うけど、これまで来ると話がまたまた脱線するのでこの辺で。ばいばい。